バイトを辞められませんでした

隣の席でペン回しや貧乏ゆすりをされると無性に腹を立てるえのきです。なんなら口笛も髪を弄るのにも苛立ちを隠せません。

新しいシェアメイトとはなんだかんだ上手くやれています。仕事に不満のある人間の集まりだったことが奇しくも幸いしたようです。

さて、今週は仕事のお話です。

シドニーで仕事と住居が安定して1ヵ月が経ち、ある程度生活に余裕が出てきました。

週3で働いている寿司屋のバイトを筆頭として、UberEATS、今週お話する単発の倉庫の仕事となかなかバランスが取れた仕事内容をしていました。
大体給与にして5:4:1くらいでリスクヘッジも万全です。

が、そろそろ帰国に必要なお金も貯まりそうで、この生活を続けることに悶々と不満がたまってきました。

特に寿司屋のバイト。

時給が他に比べて平均5ドル以上低いうえに同僚ともめがち。体力的にもUberEATSやってた方が楽なのでは、と思い常々金が貯まったら辞めようと心に決めていたアルバイトです。

まかないは旨いしオーナーは優しかったのでワーホリで働く基準といわれる3ヶ月は働いて義理立てしようと考えていました。

そして働き始めて3ヶ月まであと2週間。
「辞める」と告げるのにベストのタイミングがここでした。

日常茶飯事だろうしすんなりいくだろう、という甘い期待を持って言い出したことを今は悔やんでいます。

その話をする前に、まずは今週行った単発のアルバイトのお話から始めましょう。


倉庫のお仕事始めました。

私が現在住んでいるMascotという地域は空港のすぐ隣にあります。
それに伴って空輸された貨物が保管される倉庫も数多くMascotに点在しています。

暇を見つけては求人サイトで仕事を探すのが習慣となっていた私、ある日もUberEATSの休憩中にサイトを巡回していると「倉庫の荷下ろしアルバイト」というものを見つけました。

どうやらMascotの徒歩圏内のようです。単発の仕事でしかも時給は30ドル+ソフトドリンク。

応募しない理由がありません。

普段からこの手の単発のアルバイトを見つけては手当たり次第にメッセージを送ってはいましたが、この求人はまさに自分向け。普段よりも意気込み強めでアピールをしてみました。

すると数時間後「OK」というメッセージが返ってきました。あっさりです。

特に持ち物も準備も不要で2日後に働くことになりました。

当日の朝集合場所に行ってみると、そこは日本食レストラン向け倉庫の敷地内。マネージャーらしきおじさんと自分と同年代らしい日本人の男が待っていました。

募集人数は3人だったはずですが、1人は当日逃亡したようです。仕方ないですね。

簡単に挨拶を済ませると、さっそく業務内容を説明されます。

仕事は「コンテナ一杯の米袋を倉庫にひたすら移動させる」というものでした。

20フィートコンテナ一杯に積まれた20㎏の米袋。何百袋あるのか数え切れません。それをひたすら荷台に積み上げてゆきます。

始めは気の遠くなるように思えたこの仕事でしたが、周りのおじさんや同僚と話しながら作業をしているだけなので特にしんどいと感じることもなく2時間で早々に終えてしまいました。

給与は2時間で70ドル。

時給にして35ドルです。寿司屋の2倍以上…。

ついでに余ったドリンクをいただいて倉庫を後にしました。

その後は当日一緒に働いた男と自宅に戻って話をして時間を潰しました。午前中に終わるので時間に余裕ができてよいですね。彼との会話自体は「すごいね」と言っていれば話が進むタイプの人だったので特に感想はありません。

ともあれ、とても良い仕事でした。歩いて行けるのも良いですし、たまの仕事ですので良い気分転換になります。

お話を聞いてみると、当日にドタキャンをする人が多いため定期的に入ってくれる人材を探しているとのこと。2,3週に1度は仕事があるようですのでこれから優先的に仕事の連絡をしてもらえるようになりました。

翌日の筋肉痛により歩くのが困難になりましたが、また次回も参加したいところです。


寿司屋のお仕事終えようとしました。

冒頭に書いた通りそろそろ寿司屋のアルバイトも潮時だと感じていました。

そこで3ヶ月も目前に迫った金曜日のディナー終わり、オーナーに「あと2週間でバイトを辞めたい」旨をついに切り出しました。

これまでも優しかったオーナー、きっと快く送り出してくれるに違いありません。

期待して反応を待っていると、オーナーはひとこと

「は?駄目だよ」

顔をしかめて言い放ちました。

そもそも私がこのタイミングでオーナーに辞めることを告げた理由やこれから先の話には、オーストラリアのワーキングホリデー制度を少しだけ説明する必要があります。ほんの少しお付き合いください。

オーストラリアは、世界でも有数のワーキングホリデー渡航先です。

ワーキングホリデー制度では、基本的に1年間オーストラリアに滞在しながら働く権利が与えられます。農業、建設業、飲食業などはワーキングホリデーで滞在している人々によって成り立っている分野の筆頭です。

世界中から毎年多くの人々が雇用を求めて訪れる訳ですので、せっかくワーキングホリデーに来たのにボロ雑巾のように扱われてしまった…、という事態を極力防ぐためルールがきちんと制定されています。

特に身近なものが以下のルールです。

  • 雇用主はカジュアル(という形態)で働く人々には最低賃金の25%を上乗せした額を支払わなければならない。土日はさらにその1.5倍、祝日は2倍の賃金を支払わなければならない。
  • ワーキングホリデービザを持つ者は同一の雇用主の下で6カ月以上勤務してはならない。
  • 労働者は最低2週間前に事前通告をすることで雇用主との労働契約を解除することができる。

他にもさまざまあるのですが、今回必要なのが上の法律です。これらの法律によって労働者はオーストラリアでの最低限の労働環境を獲得することができるのです。

そうでなくとも最低レベルの地位ですからね。階級ピラミッドがオーストラリアにあるとしたら、ワーキングホリデーはホームレスの1つ上くらいでしょう。

話を戻します。

辞めることを告げた私はオーナーから「駄目だよ」と返されました。

理由として

  • 入って3ヶ月で辞めるのは早すぎる
  • 辞める2週間前に言うのは遅すぎる
  • 代わりの人を雇う手間がかかる

というものが挙げられました。

下の理由は知ったこっちゃないですが、上の理由の根拠として「雇う時に『最低6カ月は働くこと』を約束していたからそれまでは働いてもらわないと困る」ということを言われました。

改めて考えると…。

確かにそんな話もした気がします(笑)。

とはいえ正直それらはすべて口約束。

この仕事自体最低賃金も雇用期間も税金関連もなにもかも守っていないくせにどの口が言うのか、と少し憤りを感じました。

しかし寿司屋のバイトに命を救ってもらったのも事実。できるだけ穏便に事を運びたいものです。

こんなことならやんごとない事情を捏造すればよかった。

2週間で辞めたいという希望を否定された状況。法律を盾にして議論しても揉めるだけだということは想像に難くありませんでしたので、感情論を振りかざして許しを請いました。

結局落としどころとなったのは「代わりにきちんと働ける人間が入ったらすぐにでも辞めていい。その代わり入らなかったら辞めてはいけない」というものでした。

これから先の予定を組んでいる身としては納得しがたい条件ですが、とりあえずその日はこれでおしまいになりました。

その後、求人サイトで寿司屋の募集を探し、また知り合い伝手で良い人がいないか模索しています。

これまで優しく接して下さったオーナーの心象はガタ下がりです。

いつも言い合いをする同僚ですら「いい仕事が見つかったらいつでも辞めたらいいよ」って言ってくれるのに。

腹を立ててすぐに店を辞める、というのも検討したのですが、これからの2週間は一応法律で定められた雇用期間が残っていますし、なによりうちの給料は「働いた前週までの2週間分」が支給されるので、1週間分実質400ドル弱をドブに捨てることになります。

そんな勿体ないことはしたくありません。

ですが例えこれで代わりが見つからなかったとしても、このまま2週間を超えて仕事を続けるつもりはもはや毛頭ありません。懐柔策と強硬策の2つを用意しています。

もしものときは1週間分なんぞぶん投げて去りましょう。せっかくの短いワーホリ期間をバイト如きで縛られたくはありませんから。

ともあれ一番いいのは「代わりが無事に見つかって辞められること」です。

とりあえずこれから2週間程度は気まずい雰囲気に耐えながら乗り切りたいと思っています。

本当嫌ですね。ここさえ乗り切れば、ここさえ乗り切れば。


無事に辞められますように

最近は買い物もできるようになりました。

ということで明日のバイトが憂鬱です。

気にしていない顔で働く予定ですが、気にしないことを意識するだけで疲れるというものです。長くとも後2週間(もしくは3週間)の辛抱ですからなんとか耐えましょう。

幸い飢えて死ぬわけではありませんしきっと何とでもなりますよね。
寿司屋の仕事を辞めたのちは基本的にはUberEATSで生計を立てる予定です。

その後は2週間分用意してある企画でお金を貯め、日本から来る翼と遊んでその後1ヵ月はのんびりできたらいいなと思っています。時給自体はUberEATSの方が寿司屋よりも全然良いので全く問題ないでしょう。

今はひとえに来週の無事を祈りつつ、今日もこれから自転車にまたがって生活費を稼ぎに出るとでもしましょう。 それではまた。

近所の公園
可愛くてついつい写真撮ってしまう
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2 件のコメント

  • はじめまして。
    とても楽しく、読まさせていただいております。
    この7月下旬にシドニー旅行をしました。その際に、なぜ、こんなにホームレスが多いのか、若いホームレスの子もいて、とても胸が痛み、オーストラリアの経済状況などをブラウジングしている時にえのきさんのブログを見つけました。文章が秀逸で、こんなにカラフルな鳥がいるのね、料理なども海外ぽいなぁ、など多くを知ることができてとても楽しいです。えのきさん自身は懸命に先を見、修正しながらも計画的に行動されているその頑張りに驚きました。
    そして、ワーホリについて感じたのは、あー、20年前とあまり変わってないんだなと。その頃、私は大学出ても何も身に着けていない気がして、せめて英語はとイギリスに語学留学を大学3年から30歳まで転職の合間に繰り返し、通算では6か月ちょっとしていました。その時に入ってくるオーストラリアでのワーホリの状況は、えのきさんがお話するのと同じようなものがありました。割に合わない職場だったり、職場の人間関係や職探しに苦労しているようでした。そして、皆寂しさと戦っているようでした。なかなか、ワーホリの趣旨である、観光やオーストラリアを堪能するために稼ぐ、というより、生活のために稼ぐのがほとんどのようでした。えのきさんの言うように、シドニーなどでは特にワーホリの方で支えられてる業界が多いんだろうなと思いました。
    えのきさん、無事にお寿司屋さんのバイト、辞められるといいですね。せっかく良い方だったのに、自分の不利益になると思ったら態度が急変するなんて、自分勝手な大人だななんて思ってしまいました。
    まだまだ色々ありそうですが、えのきさんの芯のある精神でワーホリ、堪能して下さいね。応援してます!

    • コメントありがとうございます!
      シドニー、本当にたくさんのホームレスの方がいますよね。日本ではホームレスといえば中年以降の男性といったイメージが強いので、若者や女性のホームレスが多いのを見ると私もときどき心が痛みます。
      海外生活の先輩からのお話が聞けて嬉しいです。20年前ともなると、今より情報を得る手段がずいぶん少ないでしょうし、私とは大変さのレベルが違いそうです。
      今は昔に比べるといくぶんワーキングホリデーの状況も改善したとは耳にしますが、お話を聞く限り大本の苦労は変わらないのですね。なかなか芯から充実した生活を送ることができる人は稀なようです。
      アルバイトに関しては思うところもあるものの、ひとまず円満に解決したことに今は安堵しています。
      これから先は稼ぐのも1人、そう思うと寂しさで涙がちょちょ切れそうにもなりますが、こうしてブログを通じてご覧いただけているのを力に変えてまだまだ長いワーホリ生活頑張ります!ありがとうございます!

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